育児休業と出生時育児休業(産後パパ育休)の取得、および出生後休業支援給付金のご案内

1 育児休業制度の概要

(1)原則の育児休業制度は、パパは「子の出生日又は出産予定日のうちの早い日」からママは「子の出生日から8週間を経過する日の翌日」からそれぞれ「子が1歳に達する日(=1歳の誕生日の前日)」まで取得できる(子が1歳2か月となるまでのパパ・ママ育休プラス制度、1歳半又は2歳となるまでの延長制度あり)。ただし、次の①~④の者は対象外となる場合がある。

 事業所に、次の①~③の者について(育休取得の)対象外とする旨の労使協定がある場合
 ①入社1年未満の者
 ②申出の日から1年以内(1歳及び1歳6か月を超える休業の場合は6か月以内)に雇用契約が終了することが明らかな者
 ③1週間の所定労働日数が2日以下の者
  ※労使協定の有無やその内容については、事業所に確認する。

 ④有期契約労働者の場合、申出時点において、子が1歳6か月(再延長の際は2歳)に達する日までの間に雇用契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと(ただしこの④に該当しなくても①に該当する場合はある)
  ⇒契約書等に「更新しない」旨の明示の無い限り、原則として、更新されないことが明らかとは解釈されない

(2)育児休業給付金の受給資格としては、原則、1歳(※)未満の子を養育するために、育児休業を取得した被保険者であって、休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数(※)が11日(又は同時間数が80時間)以上ある完全月が12か月あることが必要。

 ※パパママ育休プラスは1歳2か月、育休期間延長は1歳6か月又は2歳に読み替え。

 ※賃金支払基礎日数(時間数)とは、賃金支払いの対象となった日数(時間数)のことで、有休を含む。

 ※過去に失業給付等の決定を受けていた場合は、それ以降に限る。

(3)支給額

 休業開始時賃金日額(≒直近6か月の平均日額)×支給日数×67%(休業181日目以降は50%)

(4)育児休業期間を対象とした賃金の取扱い

 ・育児休業期間を対象として事業主から支払われた賃金とは、原則、支給単位期間中に支払日のある給与・手当等の賃金総額をいう。ただし、初回申請の最初の支給単位期間においては、一部分でも育児休業期間外を対象とするような給与・手当等や、対象期間が不明確な給与・手当等は、賃金には含めない。

 ・この賃金の取扱いは、出生時育児休業給付金とは取扱いが異なる(下記2(4)参照)。

2 出生時育児休業(産後パパ育休)制度(令和4(2022)年10月1日新設)の概要

(1)パパ独自(※)の「出生時育児休業(以下「産後パパ育休」)」は、「子の出生日又は出産予定日のうちの早い日」から「子の出生日又は出産予定日のうちの遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」までの期間内に4週間(28日間)以内(注:ただし、後述3の出生後休業支援給付金も受給するには14日以上の取得が必要)の期間を定めて取得できる。ただし、次の①~④の者は対象外となる場合がある。

 事業所に、次の①~③の者について(育休取得の)対象外とする旨の労使協定がある場合
 ①入社1年未満の者
 ②申出の日から8週間以内に雇用契約が終了する者
 ③1週間の所定労働日数が2日以下の者
  ※労使協定の有無やその内容については、事業所に確認する。

 ④有期契約労働者の場合、申出時点において、子の出生日又は出産予定日のいずれか遅い方から8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までの間に雇用契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと(ただしこの④に該当しなくても①に該当する場合はある)
  ⇒契約書等に「更新しない」旨の明示の無い限り、原則として、更新されないことが明らかとは解釈されない

 ※厳密には養子をもらった場合のママも(産後休業が存在しないので)取得できるが、レアケースであるため、概ねパパ独自の理解で良いと思われ、記事はその前提で書いてます。

 ※この育休に対して給付される給付は「出生時育児休業給付金」という(給付水準は変わりませんが)別名称のものになります。

 ※(育休を中長期、連続で取得できる人にはあまり関係無いですが、)同じく令和4(2022)年10月より、この2つはそれぞれ2回に分けて取得できるようになりました。すなわち最大で、ママは2回分割パパは4回分割できることになります。

(2)出生時育児休業給付金の受給資格としては、上記2(1)の期間内に、当該子を養育するために、出生時育児休業(産後パパ育休)を取得した被保険者であって、休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数(※)が11日(又は同時間数が80時間)以上ある完全月が12か月あることが必要。

(3)支給額

 休業開始時賃金日額×休業期間の日数(28日が上限)×67%

(4)出生時育児休業期間を対象とした賃金の取扱い

 ・出生時育児休業期間を含む賃金月分として支払われた賃金のうち、就労した場合の賃金、当該育児休業期間に応じて支払われる手当等を含む。ただし、通勤手当・家族手当・資格等に応じた手当等につき、就労等した日数・時間にかかわらず一定額が支払われている場合は含まない。

 ・賃金が減額されなかった場合は、日割計算をして得られた額

(5)原則の育児休業と産後パパ育休の(その他の)主な違い
育児休業産後パパ育休
申出期限原則1か月前まで原則2週間前まで
休業開始日の繰上げ1回限り可1回限り可
休業開始日の繰下げ1回限り可1回限り可
分割取得2回分割可(都度申出で可)2回分割可(一括申出が必要)
休業中の就業原則、不可(※1)労使協定及び当該従業員の同意要(※2)

 ※1 原則、就業不可であるが、育休給付金上は「就業日数が、最大10日(10日を超える場合は就業時間数が80時間)以下」であれば受給対象にはなり、その給付基準は、文末リンク先のパンフP16の下表が詳細となる。
 ざくっと言えば、従前賃金が30万円と仮定すると、「受給180日目までは、30万円×13%=39000円まで」「同181日目からは、30万円×30%=90000円まで」の収入に収まれば満額受給でき、これを超えると逓減(もしくは受給無し)となる。

 ※2 原則、労使協定及び当該従業員の同意を条件として、「休業できるのは最大28日間で、(その28日間休業の場合で)就業日数が最大10日(10日を超える場合は就業時間数が80時間)以下まで(休業期間が28日間未満の場合は、10日/80時間を比例して計算する)就業可であるが、産後パパ育休の給付金上は、この基準以下の就業であれば、文末リンク先のパンフP3~4の給付基準により支給される。

 ざくっと言えば、13%/30%の考え方は※1に同じであり、例えばパンフの例のように「14日間の休業のうち最大の5日間就業した。(休業開始時賃金は1万円/日だったので、)賃金は(5日間就業で)5万円だった」と仮定すると、5万÷14万≒35.7%となるので、出生時…については「1万×14日×80%ー5万=62000円給付」といった計算で支給調整が入る(これに加え、出生後休業支援給付金は14万×13%=18200円給付。こちらは支給調整無し)。

(6)Q&A「自分はパパですが、原則の育児休業と、産後パパ育休と、どちらを利用すれば良いかよく分かりません。」

 (ごきそ社労士所見)これは誤解されている場合もあるかもしれませんが、例えば2(1)の期間をからめて育児休業を取得したいような場合においては、(延べ28日分までは)必ず産後パパ育休を選択しなくてはいけないという訳ではなく、最初から原則の育児休業を選択することもできます。

 しかしながら、育児休業したい期間が、2(1)の期間内で、かつ延べ28日(最大2分割)以内に収まるのであれば、産後パパ育休取得で良いと思います。これは、(取得回数の例外の制度はあるものの、)これらの休業制度は、どちらもそれぞれ2回まで分割取得可能となっているところ、ここで原則の育児休業の回数を消費してしまうと、後々、原則の育児休業を取得したい状況が発生しても取得できなくなる恐れもあるからです。

 厚労省Q&Aでは、28日を超えて産後パパ育休を取得したような場合に、労使の合意があれば、超えた部分を原則の育児休業に振り替えて申請できる(Q&AのQ6とQ7参照)などとありますが、結局は原則の育児休業回数を消費するのであれば、このような振り替えを行うことに意味が無いと申しますか、そもそも、産後パパ育休を“3回に分割して取得”または“28日を超えて取得”していること自体、制度設計から外れたおかしな話しでもあるので、最初から原則の育児休業を3回目で、または28日を超える期間で取得いただければ良いもの、と考えています。

(7)Q&A「育休を取得すると社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料等)が免除になると聞きました。免除の詳細なルールを教えてください。」

 (ごきそ社労士所見)社保料免除については、令和4(2022)年10月から少しルールも変わりました。月末時点=月末日において育休を取得していれば、“それが例え1日だけの育休取得であっても”その月分の社保料が免除になる、これは従前から変わりませんが、新たに月末を除いた14日間以上の短期間(例えば●月11日から24日までの14日間とか)で育休を取得しても、その月分の社保料が免除になるルールが追加されています。

 育休をずっと継続取得できる場合はともかく、お仕事の都合で『どうしても短期間しか無理』という場合もあろうかと思います。そのような場合、社保料の免除制度も踏まえて私がお勧めすることが多いのが、4/30(GW)や12/31(年末年始)をからめて取得する方法(その間の育休給付金申請もできればなお◎)です。育休は1歳まで取得できますから、これらは必ず1度ずつ巡って来ますし、これらの時期であれば、事業主サイドとしても通常期よりは認めやすい、といった状況になりやすいとも思いますので。もしくは応用編として、(上記新しいルールを踏まえて)もともとお盆休みが長めであるなら、それに育休をくっつけて14日間以上まで引き延ばす選択肢もあると思います。

 この社保料免除は、本人負担分だけでなく、事業主負担分も含めて免除となりますので、事業主側にも金銭的なメリットが生じます。仕事の忙しいパパの最高着地点は、産後パパ育休+通常育休を各2回(計4か月分)です。『免除ありきの育休取得は、考え方の順序が違わないか?』とのご意見もあるかもですが、私は『同じ取得するなら金銭メリットも出る方が上策』と考えていますが、いかがでしょうか? 育休をしっかり取得できることが理想とは思いますが、それが難しいような場合でも、最高着地点に向けて労使で穏便前向きにご相談いただければ幸いと思っております。

 一方、賞与にかかる社保料の免除ですが、従前は、月末時点で育休を取得していれば、その同じ月に支払われる賞与についても(その賞与にかかる)社保料が免除になるというルールでした。例えば、賞与が12月に支払われる例は多いと思いますが、「12/10や12/20に賞与が支給され、その後、年末年始にチョロっと育休取得した」ような場合でも免除になっていたのです。

 さすがにこれは甘過ぎた!ということでしょうか、今は育休取得が1か月を超える場合について、(その育休期間に含まれる月末日と同じ月に支払われる)賞与の社保料を免除するルールに改正されています。具体的には、例えば12/10から育休開始したなら、(条件が1か月を超えるなので)少なくとも1/11まで(1/10までで可とする説あり)育休を取得した場合に、12/5や12/20に支給された賞与の社保料は免除(これが1/5や1/20の支給であれば免除にならない)ということになると思います。

3 出生後休業支援給付金((出生時)育児休業給付金の13%加算制度)(令和7(2025)年4月1日新設)の概要

(1)パパママの両方とも、一定の期間内(※)に14日以上の育児休業(2の産後パパ育休を含む。以下同じ。)を取得した場合に、(パパママそれぞれ)最大28日間支給される。

 ・ただし、勤め人であるパパ又はママの、相方が自営業や専業主婦(夫)の場合や、パパが申請する場合でママが勤め人(産休中)の場合などを始め、配偶者の育児休業(取得)を要件としない場合(単に業務が忙しくて育休を取得しない・できない場合は含まない)が設定されています。受給の可否や要件緩和、添付書類の詳細は下記厚生労働省のサイト等より個別にご確認ください。

 出生後休業支援給付の簡易診断(要件確認)ツール(厚生労働省 HP)

 パンフレット「育児休業等給付の内容と支給申請手続」P13とP20「配偶者の育児休業を要件としない場合(と必要書類)」(厚生労働省 PDF)

 ※一定の期間内とは、パパの場合「子の出生日又は出産予定日のうちの早い日」から「子の出生日又は出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」まで。一方、ママが勤め人の場合は、労基法上(この期間は)概ね産後休業中となるので、この期間内に取得する必要はない(というか、取得が不可能)。よって、ママが勤め人であれば、パパがこの期間内に14日以上の育児休業を取得できれば、パパはこの加算を受けられることになり、また、パパがこの育児休業を取得できたのであれば、今度はママが産後休業に引き続いて14日以上の育児休業を取得すれば、ママもこの加算を受けられるママの場合は、「子の出生日又は出産予定日のうちの早い日」から「子の出生日又は出産予定日のうち遅い日から起算して16週間を経過する日の翌日」までの間に取得の必要あり)。

(2)支給額

 休業開始時賃金日額×休業期間の日数(28日が上限)×13%
 ※原則の育休給付金の支給率は67%、そしてこの加算の支給率は13%なので、この加算を受けられたなら合計で80%になる。
 ※この期間に一部就業した場合でも、その就業にかかる賃金が(休業開始時賃金日額×休業期間の日数の)80%以上とならない限り、この加算部分は満額受給できる。

4 (出生時)育児休業給付金、および出生後休業支援給付金の受給に必要となる書類
 ① 賃金台帳、出勤簿orタイムカード、育児休業申出書など

  ※(出生時)育児休業を開始・終了した日、賃金の額と支払状況を証明できるもの

  ※ 育児休業申出書については、原則の育児休業は「4 1歳までの育児休業」欄を、産後パパ育休は「3 出生時育児休業(産後パパ育休)」欄を使って、事業主に対して申し出が必要です。原則の育児休業の期間は、例えば子の誕生日がR8/6/1の場合で、MAX「R8/7/28~R9/5/31、職場復帰予定日 R9/6/1」となります(『子どもの誕生日当日から勤務復帰しなさい!!だなんて、法律ってほんと冷たいんですね!?』と覚えておくと、日付は間違わないです(苦笑)。

 産前・産後休業期間、育児休業期間の自動計算ツール(厚生労働省 HP)

 ② 母子健康手帳(出生届出済証明のページと分娩予定日が記載されたページ)の写し
 ③ (新たに振込先の金融機関の口座を登録する場合)キャッシュカードの写しなど口座番号が確認できる書類の写し ※過去に登録した口座、またはマイナンバーを届け出ている場合でマイナポータルに登録した公金受取口座への振込を希望する場合は提出不要
 ④ 出生後休業支援給付金の支給要件を満たしていることが確認できる書類 ※原則、ママが同給付金(13%加算部分)を申請したい場合に必要。詳細は文末リンク先のパンフレットのP19~24参照
 ⑤ 記載内容に関する確認書-申請等に関する同意書(育児休業給付・出生後休業支援給付用)(Word)

 会社が手続きを行う場合は、本人から会社へ同意書の提出も必要です。書面による手続きにおいては、同意書によって被保険者の署名を省略できます。

5 申請手続き

(1)通常は、受給資格の確認の申請と、初回分の給付金の支給申請、さらには出生後休業支援給付金も一体的に申請するのが原則。申請期間としては、原則として2か月分を2か月ごとの申請(ただし被保険者が希望する場合は、1か月分を1か月ごとに申請も可)。支給申請から振込までは概ね約1週間。

(2)産後パパ育休については、「子の出生日(出産予定日前に子が出生した場合は出産予定日)から起算して8週間を経過する日の翌日」から申請可能。ただし、①出生時育児休業の取得日数が28日に達した場合は達した日の翌日から、②2回目の出生時育児休業をした場合は、2回目の出生時育児休業を終了した日の翌日から、それぞれ申請可能。

 申請可能日から起算して2か月を経過する日の属する月の末日までに、申請する必要あり。2回に分割して取得した場合も、申請は1回にまとめて行う。

(3)出生後休業支援給付金については、通常、(出生時)育児休業と同じ1枚の申請書で申請する流れとなっており、(決定通知書は2種類に分かれますが)別の申請書は不要です。この給付金を申請する場合は、配偶者の該当する属性等を申請書に記入して、必要に応じて添付書類を追加するような形となっています。つきましては、この給付金の受給の可否についての自己診断(及び必要添付書類)を事業主さまにお伝えいただきますと、事業主さま側の内容確認もスムーズに行えるかと思います。

(4)(雇用保険の話しからは外れますが、)社会保険に加入している場合は、「健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書」を提出しないと、社会保険料の免除を受けることができません。
(特にママの場合は、育児休業に先立つ産前産後休業についても、「健康保険・厚生年金保険 産前産後休業取得者申出書」を提出することにより免除を受けられますので、提出漏れが無いようにご留意ください。)

(5)一方で、国民年金第1号被保険者であるママの場合は、国民年金保険料の産前産後期間の免除制度や、国民年金保険料の育児免除制度(令和8年10月開始)があります。

6 関連リンク

 パンフレット「育児休業等給付の内容と支給申請手続」(厚生労働省)

 パンフレット「2025年4月から「出生後休業支援給付金」を創設しました」(厚生労働省)

 Q&A~育児休業等給付(厚生労働省)